この記事では
- 米国の雇用統計について
- 米国の景気後退について
解説していきたいと思います。
今回は雇用統計に注目して解説したいと思います。
それではやっていきましょう!
米国の雇用統計
米国雇用統計
米国の雇用統計で注目されるのはいくつかありますが、失業率が特に注目されていると思います。
なぜなら、失業率が高まると景気後退と判断される傾向があるからです。
雇用統計では
- 非農業部門雇用者数
- 失業率
- 平均時給
の項目が特に注目されています。
依然として雇用統計の数字は強く、
1月の雇用統計の結果は
非農業部門雇用者数 | 35.3万人 |
---|---|
失業率 | 3.7% |
平均時給(前月比) | 0.6% |
平均時給(前年比) | 4.5% |
と非常に強くなっていました。
1月は雇用統計が非常にブレやすい月です。
非農業部門雇用者数が市場予想に2倍になったのは4年連続です。
理由としては、
- 季節調整のブレが大きい
- 最新の人口推計を反映して数字が改定される
こうしたことから市場予想と大きく乖離してしまいます。
その結果、利下げ観測が後退し、株式市場にも大きく影響してしまいます。
つまり、1月はサプライズとして受け取られる可能性が非常に高いということですね。
なので、個人的には1月の雇用統計のズレは一旦無視してしまっていいと思っています。
では次は雇用の中身を見ていきましょう。
雇用統計の実態
雇用統計の中身は一体どのようになっているのでしょうか?
引用元(ゼロヘッジのX)
これはゼロヘッジという米国の金融ブログのスタッフの呟きです(画質が悪くてすみません…)
少し偏った意見が多く、弱気な分析が多いようですが、データは本物です。
この画像はどういうものかというと、
『過去1年間に増加した雇用は全てのパートタイムであり、フルタイム労働者はむしろ減少している。』
というものです。
この数字を見て雇用はまだ強い!というのは個人的には少し違和感があります。
ただ、パートタイムばかり増えているとはいえ、トータルの雇用の数に関しては増えているから市場が好感するというのは頷けます。(細かい数字を見ている人は少ないと思うし、それを考慮する必要はないと考える人も少なくないと思います。)
現在の米国の雇用統計は
- パートタイムの人口の上昇が良い数字を作り出している
- フルタイムの労働者は過去1年間では減少傾向にある
どの雇用が強い?
例えば1月の場合、35万3千人のうち、31万7千人が民間の雇用です。
引用元(https://www.bls.gov/web/empsit/ceseesummary.htm)
- Total Privateが民間の雇用の合計
- Goods-Producingが製造業
- Private service-providingがサービス業
(すみません、表が大きくて入り切りませんでした)
圧倒的にサービス業の割合が多くなっています。
特に年末商戦の影響でサービス業の雇用が増え、最近の雇用統計の数字が大きくなっていることがわかります。
つまり、期間限定の雇用が多かったのではないかと推測することができますね。
- 米国の雇用はサービス業が強い
- 年末商戦は一時的な雇用の上昇を創り出す
雇用のカウント方法
雇用統計はダブルカウント、トリプルカウントされてしまっています。
例えば、
『フルタイムの仕事を見つけられなくてパートタイムの仕事を3つ掛け持ちしている。』
という場合は1人であっても3人としてカウントされてしまいます。
つまり、労働人口が増えているのではなく、生活が苦しいから副業でいくつもの仕事をしているという人が雇用統計の数字を良いものにしているということです。
フルタイムの雇用が減って、パートタイムの雇用が増えているということでこうした状況が推測できますね。
余談ですが米国の個人のクレジットカードの債務額がかなり大きくなっています。
収入を増やす為に必至に副業を行う必要があるんでしょうね。
米国は消費大国です。日本人の感覚(貯金大好き)とは真逆の考え方のように感じます。
雇用統計では副業などによって、1人でも複数の労働力としてカウントされてしまう
景気後退について
今回は雇用統計について解説してきました。
雇用統計の中身を見ると、フルタイム労働者を減らすことで企業はコスト削減をしていると考えられます。
また、実際の労働市場は副業などで多くの人がダブルカウントされ、雇用統計は良い数字を維持できていると考えられます。
これはあくまで実態です。
実際に市場がどう反応するかは雇用統計の細かい中身とは別の話です。
市場は表面的に良い数字を見れば利下げ観測を後退させ、ソフトランディング(景気後退回避)を期待するでしょう。
逆に悪い数字を見れば利下げを期待しますが、ハードランディング(景気後退)を考え始めます。
結局は失業率が大きく上がり始めると景気後退を考え、株は下がると考えられます。
つまり、企業が本当に苦しくなって、パートタイムさえ雇うことが難しくなってきた場合は雇用統計が悪化すると思います。
当然そうなれば企業業績も悪化した内容が決算で発表されるでしょう。
そうなれば景気後退は来る可能性がありますね。
とはいっても、雇用統計は遅行指数です。他の経済指標もしっかりとチェックしていきましょう。
個人的には景気後退は来るとは思っていますが、もう少し先かなと思っています。
正直なところ来ない可能性(ソフトランディングの可能性)も捨て切れていませんが。。
まとめ
- 1月の雇用統計はブレが生じやすい
- 過去1年間の雇用統計はフルタイム労働者は減少
- 過去1年間の雇用統計はパートタイム労働者は増加
- パートタイム労働者が雇用統計の良好な数字を維持してきた
- 雇用統計の数字の多くはサービス業によるもの
- 1人で副業などのダブルワークをしたら雇用統計では2人分としてカウントされる
- 雇用者数が多いのはダブルワークやトリプルワークをしている人が多いから
今回は雇用統計にのみ視点を置いて解説しました。
実際に米国では景気後退は失業率を軸に判断されることが多いです。
なので、失業率が増加した時は景気応対に入る、もしくは入ったと判断されると思います。
しかし、景気後退時に起こるのは失業率の増加だけではありません。
ぼくが気にしているのは逆イールドです。(長短金利差の逆転)
これが正常になるまでは油断できないと思っています。
ただし、AIブームなどもあるので今の株式市場から抜け出すのはオススメしません。
自分のリスク許容度に注意をして投資を続けていく方でリターンを逃さないようにしましょう。
景気後退が来るかもしれない、株が下がるかもしれない、というような恐怖(リスク)こそがリターンを得る為の代償です。
恐怖を乗り越えた時には大きな資産を築けていることでしょう!
というわけで、今と将来の生活を少しでも豊かにする為にコツコツ資産形成を一緒に頑張っていきましょう!
ではまた!