この記事では粘り強いインフレについて!
- インフレは収まっているのか?
という点について解説していきたいと思います。
それではやっていきましょう!
米国消費者物価指数(CPI)と個人消費支出(PCE)デフレーター
CPIとPCEデフレーターの違い
まずはCPIとPCEの違いについて簡単に少し触れておきましょう。
CPIとは?
CPIとは消費者物価指数です。
CPIとは全米の人口8割以上を占める都市部の消費者が購入するものに対して総合的に物価がどのように変化しているか?
ということを示したものです。
簡単に言うと、
前の価格と今の価格を比べて何%変わってる?
というものです。
つまりはインフレやデフレを測る指標ですね。
PCEとは?
PCEとは個人消費支出です。
PCEとは米国の家計が消費したものの集計値です。
これは米国全体を網羅している指標です。
そして、PCEデフレーターとは実質の価格から算出された名目PCEを物価変動の影響を除いた実質PCEで割って求めたものです。
ややこしいので簡単に説明すると、
実際の価格÷インフレ(デフレ)を無視した価格=PCEデフレーター
つまり、CPIと同様にインフレやデフレを測る指標ですね。
では一体CPIとPCEデフレーターはどういう違いがあるのでしょうか?
CPIとPCEデフレーターの違い
まず一つ目は上でも書いたように、
- CPIは都市部のみを対象とした指標
- PCEは米国全体を対象とした指標
都市部だけでも人口の8〜9割を示しているのでCPIはある程度正確ではあると考えられますが、当然全体を対象にした方が正確性は増しますね。
二つ目は
- CPIは消費者が直接支払う価格のみを対象
- PCEは消費者の支出に加えて、企業や政府が提供する価格も対象
CPIは分かりやすいですね。
PCEは例えば、医療費で考えてみましょう。
CPIは私たちが実際に支払う価格のみを対象とするのに対して、PCEは保険会社や政府が負担してくれる部分も含みます。
つまり、PCEはより広範な指標と言えます。
- 3つ目は対象とするのに財・サービスの構成割合が違う
例えば、CPIは住居費が全体の30%以上を占めるのに対して、PCEの住居費は全体の15%しか占めません。
ただし、医療費の例で述べたように保険負担などによって医療費はCPIでは7%程度。PCEでは16%と大きくなっています。
CPIとPCEにはこのような違いがあります。
まとめると
- 対象地域が違う
- 対象が個人だけかそれ以外も含むのかが違う
- 対象の財・サービスの構成割合が違う
なぜPCEデフレーターを重視するのか?
FRBがPCEを重視する理由
最も大きな理由としては、PCEデフレーターの方が広範な指標だからです。
PCEデフレーターは対象地域も広く、個人以外も対象としているのでCPIよりも正確なインフレ率を示していると言えます。
また、CPIのように住居費が35%というような極端な偏りがない事も一つの理由と言えるでしょう。
また、CPIにもPCEにも共通して言える事ですが、特に重視しているのは、
- PCEコアデフレーター
- コアCPI
これは価格変動の大きな食品とエネルギーを除いた指標です。
これを重視する理由はより安定したインフレ率を知ることができるからです。
- PCEは広範な指標でCPIよりも正確といえる
2024年1月時点のPCE
1月時点のPCEをチェックしてみましょう。
- PCEデフレーター:前年比2.4%(予想2.6%)
- PCEコアデフレーター:前年比2.8%(予想2.9%)
どちらも予想を下回っています。
これに対して1月時点のCPIは大きく予想を上回っていました。
これは住居費が高く、CPIは住居費の割合が多くを占めているからです。
つまり、最近のCPIとPCEの差は住居費によるものが大きいと考えられます。
また、2月時点のPCEに関しては3月29日に発表されるので要チェックです。
ちなみにCPIが注目される理由としては非常に単純で、PCEよりも早く発表されるからです。
- 実はインフレ率は緩やかに下がってきている
今後の米国のインフレは?
PCEで見ると緩やかに下がってきているので、個人的にはそこまで心配する必要はなく下がっていくと思っています。
FRBが重視するPCEコアデフレーターの推移を見てみましょう。
マネックス証券:経済指標カレンダーより引用
ただし、住居のインフレが非常に根強いことを考えるまだインフレを抑え込むには時間がかかるように思います。
また、小売売上高の悪化、失業率の上昇など景気後退へ向かう兆候のようなものも少し見え隠れしてきました。
一方で足を引っ張っている住宅関連の経済指標は強いです。
ただ、FRBは兼ねてからインフレ退治に景気を犠牲にする覚悟はあると言ってきたので、インフレは最終的に収まると思っています。
最近ではソフトランディングが叫ばれていますが、景気後退が来る可能性もまだまだあると思っています。
- 最悪の場合スタグフレーション(不景気なのにインフレ状態)に入る可能性もある
- 原油価格が上がればインフレは再燃するかもしれない
- 戦争のように地政学的なリスクもある
- 単純にインフレが長引くかもしれない
しかし、考え出すとキリがありません。あまり気にしすぎる必要はなく、不景気になるかもということを認識してリスクマネジメントをしっかりしておくことが大切です。
まとめ
- CPIとPCEは共にインフレ率を測る指標
- CPIとPCEは調査範囲が異なる
- CPIよりPCEの方が広範
- FRBはより正確にインフレ率が分かるPCEデフレーターの方を重視する
- PCEデフレーターは減少傾向にある
- CPIは上昇傾向にある
- インフレは収まると思う(個人的な意見)
- 景気後退、スタグフレーションの可能性もある
今回はPCEデフレーターとCPIについて解説しました。
FRBがPCEに注目して金融政策を行う以上、私たちもPCEには注目する必要があります。
もちろんCPIを蔑ろにしていいというわけではありませんが。。。
個人的にはこのままインフレは収まっていくと思っています。
なぜならFRBがインフレ退治に全力を尽くすと考えているからです。
しかし、その中で利下げが後ろ倒しになったり、景気後退が訪れたり、株式にとっては逆風になる可能性も大いにあります。
株式投資においてリスクはつきものです。
基本的に世の中が好材料で満たされることはありません。不安材料は常にあるものです。
不安の壁を登って株式は成長を遂げてきました。
逆に全ての人が楽観している時は株式に新たな買い手が現れず、暴落を待つ状態とも言えます。いわゆるバブル状態です。
株式投資において世の中に不安を煽ったり、暴落を煽ったりする意見があるくらいが丁度良く、株式を安心して買い向かうことができます。
それでも不安を感じる場合はリスク許容度を超えていると考えられるので、今一度ポートフォリオを見直してみてください。
最後はインフレの話から株式投資の話へと逸れてしまいましたが、結論としてはそこまで不安になる必要はないということです。
というわけで、今と将来の生活を少しでも豊かにする為に一緒にコツコツ資産形成を頑張っていきましょう!
ではまた!