この記事では
- 米国が景気後退に入っているかもしれない
ということについて解説していきたいと思います。
それではやっていきましょう!
【米国市場】景気後退について
景気後退の判断について
米国の景気後退については一般的に判断基準が2つあります。
一つはテクニカルリッセッションと呼ばれるもの。
もう一つが全米経済研究所(NBER)によって『経済全体に広がり、数ヶ月以上続く経済活動の著しく低下している』と判断された場合です。
テクニカルリセッションとは
これは、実質GDP成長率が2四半期以上連続でマイナスになった時に景気後退と言われる判断基準です。
ただし、『リセッション(景気後退)』とは呼ばれるもののこれは正式な景気後退ではありません。
米国経済において正式な景気後退は全米経済研究所が判断する景気後退です。
全米経済研究所による景気後退判断
ではどうやって判断をするのか?
判断するには3つの基準があります。
全米経済研究所の景気後退判断基準
- 「経済活動全般」にわたって「相当な下降局面」にあること
- 数ヵ月以上の持続的なものであること
- 実質GDP、鉱工業生産、雇用、実質個人所得(除:移転所得)、製造業・卸売・小売の 実質販売高、等で明示的な下降を見せている こと
引用:https://www.nli-research.co.jp/files/topics/37818_ext_18_0.pdf?site=nli
この中でも③が特に重要視されています。
つまり、あらゆる経済指標がしばらく下がり続けていれば景気後退と判断される可能性があるということです。
しかし、この全米経済研究所が景気後退したと判断するのは時間を要し、景気後退したと判断されるのは景気後退入りした1年以上後になります。
なので、景気後退入りが発表された時には既に景気後退から1年ほど経過しているということになります。
こうしたことから、今の経済指標の悪化は景気後退に既に入っているという可能性を示唆しているとも言えます。
経済指標の悪化
最近はあらゆる経済指標が悪い結果を出しています。
簡単にいくつか紹介。
ISM(非)製造業景気指数
製造業景気指数はその名の通り製造業の景気。
非製造業景気指数はサービス業の景気です。
共に50を切っていれば景気は悪いと判断されます。
- 製造業景気指数は既に長期的に50を切っている
- 非製造業景気指数は最近50を切る頻度が増えてきている
確実に景気悪化に向かっていることがわかります。
小売売上高
その名の通り小売業の売上高の推移を表す指標です。
前月比で現す指標ですが、マイナスになってきているというわけではないですが、伸び率はほぼ0%という状況が続いています。
米国は個人消費がGDPの7割を占めると言われているので、小売売上高が下がると景気後退が意識されるのは当然というわけです。
住宅関連指標
住宅関連指標は金額が大きいこともあり、経済へ及ぼす影響も大きいです。
指標としては
- 住宅建築許可件数
- 住宅着工件数
- 中古住宅販売件数
こんな感じのものがあります。
住宅関連指標は金利の影響も大きく受けることもあり、米国の政策金利が上がり始めた頃から右肩下がりになっています。
そういうこともあり、2022年以降から緩やかですが右肩下がりに推移しています。
雇用統計
景気後退の判断において特に重要視される指標です。
全体的に雇用社数の伸び率は悪くなっており、情報系や派遣、医療系の従事者は減少傾向にあります。
また、公務員の数が増えており、政府側が雇用の下支えをしていることがわかります。
その結果、経済的には厳しくなることが予想できます。
そして景気後退においては失業率が非常に重視されますが、ここ数ヶ月で失業率は高くなってきています。
実際に過去のデータを見ると、景気後退に入る時は失業率が急上昇するという特徴が見られるので、今の失業率の上昇はその前兆という可能性が低くありません。
また7月の雇用統計の結果、失業率の増加がサームルールを発動させたことも景気後退に入った可能性を感じさせる一つの要因です。
サームルール
直近3か月の平均の失業率を過去12カ月で最も低かった失業率で引いた数字が0.5を上回ると景気後退の確率が高いという経験則。
※元FRBエコノミストのクローディア・サーム氏が提唱
こんな感じで今はいろんな経済指標が悪化しています。
というわけでまとめ!
まとめ
景気後退の種類
- テクニカルリセッション
- 全米経済研究所による景気後退入りの判断
経済指標悪化
- ISM(非)製造業景気指数:下降
- 小売売上高:横ばい
- 住宅関連指数:下降
- 雇用統計:悪化
今回は最近の株価の下落や経済指標の悪化の速度から景気後退入りした可能性があるということを解説しました。
繰り返しになりますが、景気後退が発表されるのは景気後退に入ってから1年以上後だったりするので、今の時点で既に景気後退に入っている可能性はあります。
とはいえ、底を完全に読むことはできないです。
相場の格言にも『頭と尻尾はくれてやれ』と言われるように、あまり狙い過ぎるとタイミングを逃してしまうことになります。
なので、長期投資をしている方は今までと変わらなずに淡々と投資を続けることが大切だと思っています。
しかし、今回の下落で『焦ってしまった』とか『不安になってしまった』、『投資をやめたい』なんてことが頭をよぎった方はリスクの取りすぎです。
そういう方は投資のペースを落としたりして現金比率を高める方がいいでしょう。
もしくは株式にしか投資をしていない場合は債券やゴールドなど他の投資先も視野に入れるといいかもしれません。
正直なところ10%や20%の下落はそこまで珍しいものではありません。
特に10%程度なら毎年1回くらいは来るというデータがあります。
また、日本株も米国市場の動きや為替のに引っ張られる傾向があります。
なので、まずは自分のリスク許容度についてしっかり理解することが大切です!
さて、本当に景気後退がきている、もしくはこれから近い将来に入るということなら絶好の買い場と言えます。
当然まだ下がる可能性も少なくはないので繰り返しになりますが、しっかりリスク管理をしながら資産形成の為に長期投資をしていきましょう。
というわけで、今と将来の生活を少しでも豊かにする為に一緒にコツコツと資産形成を頑張っていきましょう!
ではまた!