この記事では
- 政策金利とは?
- 中立金利ってなに?
- 米国の中立金利
ということについて解説していきたいと思います。
以前政策金利・中立金利についてご質問いただいたこともあったので簡単に説明しますね!
政策金利って何?
政策金利とは?
最近米国の利下げとか、日銀の利上げとかがよく話題になっています。
その中央銀行がコントロールする金利を『政策金利』と言います。
中央銀行は日本では日本銀行です。
中央銀行は『政策金利』という金利を上げたり下げたりすることができます。
この金利は一体なにに影響があるのでしょうか?
日本銀行は『銀行の銀行』と学生時代に習ったことがあると思います。
つまり、三菱UFJや三井住友銀行とか一般の銀行にお金を貸し出すことができる銀行です。
その際、日本銀行が一般の銀行にかける金利です。
つまり『一般の銀行が日本銀行にお金を借りる時にかかる金利が政策金利』と言えます。
政策金利は何に影響する?
政策金利は大きく影響するのは預金金利などの短期金利に影響します。
なぜかと言うと、まず銀行が考えることは、
- 日銀からお金を借りるか?
- 一般人からお金を借りるか?(預金は銀行が一般人からお金を借りる状態)
例えば政策金利が3%だとします。
それは日銀からお金を借りると3%の金利がかかるということを意味します。
一般人から借りる場合は銀行が金利を決めます。
そこで多くの銀行は3%以下の金利でできるだけ多くの人から借りられるように金利を上げる競争します。
その結果、3%に近い状態で預金金利が落ち着くと考えられます。
つまり、政策金利は預金金利のような短期金利に大きく影響を与えます。
ちなみに3%を超えるのは考えにくいです。
なぜなら日銀から3%で借りられるので3%以上で一般人から借りると損するからです。
政策金利は預金金利のような短期金利に大きな影響を与える
もちろん、金利が上がるとお金を調達するのによりお金がかかるようになるので、銀行がお金を貸し出す時も金利を上げます。
あと、10年、20年国債などの長期金利は長期ということもあっていろんな要素が絡み合って決まります。
長期間のうちに物価が上がったり、経済成長したりいろんなことが起こることが考えられますからね。
中立金利って何?
中立金利とは?
中立金利とは景気にとって程よい政策金利の水準です。
政策金利は上げて景気を抑えたり、下げて景気を刺激したりします。
政策金利が高いと資金調達が難しくなって、政策金利が低いと資金調達が気軽にできるようになるからですね。
でも常に政策金利を動かし続けるわけではありません。
景気が程よい状態で維持するために金利を維持することも必要です。
そのような景気にとって程良い政策金利が『中立金利』です。
いわゆる政策金利を動かしまくる時期を終えた先のゴールの金利ですね。
中立金利って何%?
日本の中立金利
それぞれの国の物価の動きや景気の状況にもよるので何%が中立金利である。と断言することはできません。
実際に日銀は中立金利を探っている状態です。
1%程度とも言われていますが、どうもはっきりしないのが現状です。
確かに日本は実質賃金も上がらないような状態で決して景気がいいとは言えないので米国のように金利を高くすることはできないでしょう。
米国の中立金利
ということで、2024年末まで政策金利をガンガン動かしていた米国の中立金利を探ってみましょう。
米国の金融政策はFOMCという会合で12名のエリートたちによって決められます。
そして、政策金利の今後の見通しをその12名と他7名の計19名のエリートで出しています。
ちなみに意思決定はFOMCに出る12名だけで行われます。
下の表が日本時間で1月16日時点の政策金利の見通しです。
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引用(https://www.cmegroup.com/ja/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html)
見方としては
- 2025年は10人が3.875%の金利が適正だと主張
- 2026年は3.875%が3人、3.625%が4人、3.375%が5人、3.125%が4人とまばらで予想がつかない状態
- 2027年は3.625%が4人、3.125%が7人とまとまっておりタカ派とハト派が分かれている様子
- 2028年以降の長期的な視点では3%と2.875%が7人でこの辺りの金利が適正だと言う主張が多いようです。
この2028年以降の長期的な視点での見通しが現在の米国中央銀行が目指す中立金利だということになります。
つまりこの時点では3%程度が適正な金利(中立金利)だと考えられていることがわかります。
まとめ
政策金利とは日銀が一般の銀行にかける金利のこと
政策金利は預金金利などの短期金利に大きな影響を与える
政策金利は長期金利にも影響を与えるが短期金利ほどではない
中立金利とは景気が安定する適度な政策金利の水準
日銀が目指す中立金利は1%(不透明感が強い)
FOMCメンバーが目指す中立金利は3%程度
今回は政策金利と中立金利について解説しました。
金利の話はややこしくて嫌われがちですが、経済を知るには必要不可欠です。
この金利は景気にいろいろな影響を与えるからですね。
例えば
- 政策金利が上がる→銀行の金利が上がる→企業はお金の返済が難しくなり、新たな資金調達も難しくなる→会社の経営が困難になる
- 政策金利が上がる→銀行の金利が上がる→住宅ローンなどが上がる→一般人の消費が落ち込む
- 政策金利が上がる→銀行の金利が上がる→預金金利が上がるので一般人は預金をするようになる→消費が落ち込む、株式など他の資産から預金に切り替える者も出てくる
金利が下がるとこの逆のことが起きます。
このように金利を動かすだけでいろんなことが起きます。
金利の話はややこしく感じますが、このように順序立てて考えるとそこまで難しい話ではありません。
また、金利は為替にも影響しますが、それについてはまた記事にしたいと思います。
現在、日本は利上げ、米国など他の国は利下げの方向で動いています。
逆の動きをしているのでそれぞれの国で逆のことが起きようとしています。
個人的には日本の利上げはあまりいい動きとは思えませんが…
日本にしても米国にしても早く中立金利で落ち着ける状態になってくれることを願っています。
今回は政策金利や中立金利について少し勘違いをされている方がSNSで見受けられたのこんな記事になりました。
少しでも参考になれば幸いです。
ということで今と将来の生活を少しでも豊かにするために一緒にコツコツと資産形成を頑張っていきましょう!
ではまた!