この記事では
- 株式に複利の効果がある
ということについて解説していきます。
配当再投資だけが複利ではない!
というわけでやっていきましょう!
株式の複利の効果
単利と複利
一応単利と複利を簡単に説明します。
知ってるよ!って人は飛ばしてください。
- 単利:元本にだけ利息がつく
- 複利:(元本+これまでの利息)に利息がつく
100万円を年利5%で5年間運用した場合
単利は100万円に5%の利息が5回もらえます。
つまり毎年5万円もらえる。というシンプルなものです。
5年後には125万円になっています。
複利は100万円に5%の利息がつき、次の年はその総額に5%の利息がまたつきます。
- 1年目は105万円
- 2年目は105万円に5%=110万2500円
- 3年目は110.25万円に5%=115万7625円
- 4年目は115.7625万円に5%=121万5506円
- 5年目は121.550625万円に5%=127万6282円
5年後には約127万6282円と単利と比べると効率的にお金を増やすことができます。
でもこれは元本は固定、利息も固定という状態です。
単利が国債のようなもの。
複利は預金金利などがイメージしやすいでしょう。
では株式投資は??
株式の複利とはどんなもの?
株式の複利はあるという人もいれば無いと言う人もいます。
なので、実際にどうなのかと言うことははっきりさせるのは難しいですが、個人的にはあると思っています。
まず株式の複利において最もよく言われるのが配当金の再投資だと思います。
配当金は比較的安定していますし、配当が出されて再投資することで保有株数も増えるのでイメージしやすいのだと思います。
これは間違っていないと思います。
しかし、実際には『利益が利益を増幅させる』というのが株式の複利であると思います。
配当金は利益の一部を分配するというのが一般的です。(最近ではDOEという考え方もありますが…)
配当金は利益の一部ということは配当以外の利益はどうなるのでしょうか?
そこにも複利の効果があるはずです。
その利益を利用して次の年はさらに利益を増幅させようと企業は頑張るわけですから。
もちろん株主は受け取った配当を再投資することで複利の効果が得られます。
つまり、利益をもって複利の効果を効かせようとするのが企業か株主か、という違いなだけです。
EPS(一株利益)が右肩上がりの企業は複利を利かせるのが上手と考えられます。
例えば、
- 100万円を使って20万円を儲けた(120万円保有中)
- 次の年120万円を使って24万円を儲けた(144万円保有中)
- さらに次の年144万円を使って29万円儲けた(173万円保有中)
こんな感じで利益をうまく利用してお金を稼いだら株価も上がりますし、配当金も増えます。
これは複利の効果によく似ていますね。
もちろん株式はこれほど安定して稼ぐことは難しいので綺麗な右肩上がりの成長とはいかないでしょう。
しかし、お金があるところにお金が集まるというのはこういうことです。
お金が増えれば事業規模も大きくなり稼ぎやすくなるのは想像に難くないですね。
でも綺麗な右肩上がりではないのは複利が効いているというには無理があるか?
そんなことはありません。
株式には複利が効いている
複利の効いているものには特徴があります。
それは複利が効いていると対数で表した長期チャートでは右肩上がりの直線に近い形になっているというものです。
ちなみに対数とは何乗するかを示した数字です。
対数で表したチャートとは縦軸(Y軸)が1、10、100、1000、10000….というように10倍ずつ増えていくような表記がしてあるグラフです。
10倍というのは常用対数log10というのもがあって…というのはややこしので、対数のチャートは基本的に縦軸が10倍ずつ増えていくチャートだと考えておいてください。
では本当に対数チャートでは複利が効いている時に右肩上がりになるのか?
検証してみましょう。
複利が効いた対数チャート
今回は10万円を年利10%で100年間運用した場合のチャートを作成しました。
単利のパターンと比較しました。
視覚的にわかりやすくするために100年間というかなり長い期間の運用という設定です。

- グレーの線が複利運用した場合
- 黄色の線が単利運用した場合
です。
複利運用しているグレーの線は綺麗な右肩上がりの直線です。
黄色は単利なので対数グラフだと後半だんだんと失速しています。
対数グラフは倍々に増えていくことを示すものです。
つまり複利は倍々で増えていくことがわかります。
単利は増え方が減っているわけではなく、倍々という増え方ではなく増え方が一定という特徴があることがわかりますね。
ではそろそろ株式にこの複利の特徴がある見てみましょう。
S&P500のチャート
ではまず対数では無い普通のS&P500の長期チャートを見てみましょう。
![]()
引用:https://www.macrotrends.net/2324/sp-500-historical-chart-data
ちなみに普通の指数グラフは左の縦軸(Y軸)は500ptずつ増えていますね。
非常に後半は大きく上昇しています。
次は対数のチャートを見てみましょう。
![]()
引用:https://www.macrotrends.net/2324/sp-500-historical-chart-data
だいぶわかりやすい右肩上がりですね。
当然株式は元本(株価)も利回りも一定ではありません。
なので上の例で示したような本当の直線にはなりません。
しかし、対数チャートでこれだけ綺麗な右肩上がりということは複利的に増えていると言えるのではないでしょうか。
株式の怖さ
ただ、最初に言ったように企業は利益を使って利益を増幅させていきます。
配当も利益があるから出せますよね。
しかし、当然前年比で減益になるときもあります。時には赤字になるときもあると思います。
そうした場合は今までの説明に沿って言うなら『元本に減った利息がつく』、もしくは『元本にマイナスの利息がつく』という状況になります。
そしてそれが続くと『減った元本にマイナスの利息がつく』という状況になり得ます。
その場合はむしろ単利よりも利益が少なくなってしまったり、元本が減ってしまうことも考えられます。
いわゆるマイナスの複利という形になります。
一般的に決算で赤字になった企業は売られます。
しかし、中には悪い決算で株価が下がることでそれをチャンスだと考えて株を購入する人もいます。
経営が上手くいっていなくて減益・赤字という状況の決算で買ってしまうと、マイナスの複利でずるずると損をしてしまうかもしれません。
こうしたことから決算では良い決算を出した企業の株を買うべきで悪い決算の株は売りだと言われるわけですね。
インデックス投資のように市場全体を購入する投資信託などの場合はそこまで心配する必要はありません。
経済成長が続く限り、基本的には稼ぐ企業の方が多いです。
稼ぐ企業の方が多いということはしっかりとプラスの複利を得られる可能性が高い。ということになります。
とはいえ、株式は預金や国債といった無リスク資産と比べると不安定な資産です。
複利の効果もあくまで長期的に見ると対数チャートで右肩上がりになるというだけで短期的には複利の効果はそこまで大きくありません。
なので、できる限り運用期間を長くするということが株式投資で勝利をするための最も再現性が高い方法だと僕は思います。
これからも長期視点で株式投資をしていきましょう!
まとめ
- 単利:元本にだけ利息がつく
- 複利:(元本+これまでの利息)に利息がつく
- 株式は金利も元本も固定では無い
- 株式は利益が利益を増やすという複利
- 複利には対数チャートで見ると右肩上がりの直線になるという特徴がある
- 株式も超長期では対数チャートで右肩上がりの直線に近い形になる
- 株式は赤字は赤字を増やすマイナスの複利になる可能性もある
- 複利は長期投資においてのみ大きな効力を発揮する
というわけで株式の複利ついて考えてみました。
今回のことを簡単にいうと、利益を上げ続ける会社は複利効果でどんどんと成長していくと考えられる。
っていう感じですね。
逆に赤字の会社はどんどん萎んでいく可能性が高いとも言えます。
しかし、企業は人です。
だれもギャンブル的に経営をしようなんてしていません。
また、損をするために経営する人もいません。
なので、赤字だとしても企業努力でどうにかなる可能性も大いにあります。
なにより市場全体で見ると株式に複利の効果があると考えられるのは今回の話の通りです。
『株式投資は複利的な右肩上がりのチャートを形成している』というような根拠を持つことは株を手離さない助けになると思います。
また、話は変わりますが、中には投資はギャンブルだという人もいますがそれはあり得ません。
それならその人の働いている会社もその人の経営している会社も全部ギャンブルです。
その人は労働をギャンブル的に捉えているということになりますね。
株式投資(企業への投資)をギャンブルだと考えるのはそういうことです。
ですが当然損をする会社も潰れてしまう会社もあります。
何十社にも投資をしていると経営不振になってしまう会社があるのは仕方ないことです。
多分50人くらいの経営者に聞けば何人かは経営が上手くいっていない人もいるでしょう。
投資のリスクというのはそういうもんです。
僕は一つの会社に依存する方がリスクが高いと思いますけどねぇ。。
投資はギャンブルだという人の会社は給料を確実に出し続けるという保証をしてくれるのでしょうか?
話が逸れてしまいましたね。
繰り返しになりますが、僕は株式投資に複利の効果はあると考えています。
それは配当の再投資だけではなく、会社が利益を出してくれる限り効果はあります。
それを信じて一緒にコツコツと資産形成を頑張っていきましょう!
ではまた!