この記事では
- アメリカのインフレについて
- 9月に発表された8月のCPI(インフレ率)について
- 今後の動向
などについてお話ししたいと思います。
アメリカのインフレ
現在の米国のインフレの原因は、コロナショック時に米国の中央銀行(FRB)が大規模な量的緩和を行ったからです。
そのおかげでコロナショックで一気に下がった株価は短期間で一気に戻り、大きく値上がり、最終的には最高値更新を繰り返しました。
量的緩和とは?
量的緩和とは、中央銀行が国債を大量に購入し市場にお金をたくさん流入させることです。
中央銀行はお金を作ることができる機関なので、国債は買い放題です。
そしてお金が市場に流れると、その一部は株式市場にも流れ込み、株価は上昇していきます。
米国の量的緩和は失敗?
FRBの大規模な量的緩和のおかげで株価は一気に戻しました。
2020年頃の谷になって一気に戻している部分がコロナショックです。
しかし、その時大量に流れたお金が今では通貨の価値を下げるインフレを助長させてしまっています。
そして、『当時の金融緩和(量的緩和)はやりすぎだった!』とも言われています。
実際に、今はインフレが進みすぎて大急ぎで利上げや金融引き締めを行なっていますね。
8月のCPI(9月に発表)について
CPIとは?
CPIとは消費者物価指数のことを言います。
消費者物価指数とは簡単に言うと今とある期間を比べてどれだけ物価が変わっているか?を示す指数です。
基本的には前年同月比が用いられることが多いです。(前月比などの場合もあります。)
例えば前年の8月と今年の8月を比べてどれだけインフレしたか?というようなインフレ率と思っていただいてもいいと思います。(マイナスの場合はデフレ状態)
ちなみにCPIには総合とコアCPIがあります。
総合はその名の通り全ての物価で、コアCPIは総合から食品とエネルギーを除いたものを言います。
※日本ではコアCPI、コアコアCPIなどさらに細分化されます。
2022年8月の米国CPI
総合 予想:8.1% 結果:8.3%
コアCPI 予想:6.1% 結果:6.3%
どちらも予想を上回りました。
予想以上に物価が上昇しており、FRBは利上げを進めているにも関わらず、インフレが進んでいることが明らかになりました。
原油価格が下がっている現状でもインフレが収まる様子がありません。
米国はインフレが進んでいる分、賃金も上昇しており、まだ景気が悪いと言うような状況ではないようです。
今後の動向
9月の動向
2022年9月からFRBのQT(量的引き締め)の規模が今までの倍になります。
6月から8月までは毎月475億ドル国債などの保有資産を減らしています。
そして9月からはその倍の950億ドルの資産を減らす方向です。これは市場に流れるお金の量が減り、株式市場に流れるお金も減ることを意味します。
また、FOMCで利上げも行われます。
0.75%もしくは1.00%の利上げが行われるというのが市場参加者の予想です。
0.75%という予想をする人の方が多く、もしそうなら株価にはすでに織り込まれている状況でしょう。
しかし、1.00%ならさらに急速な株価の下落と円安の進行が予想されます。
今年の動向
現状の市場参加者は2022年末の金利は4.5%まで引き上げられ、2023年になってもしばらくその水準で維持されるだろうという予想をしています。
今年の最初の予想では2022年末の金利は1.0%までしか上がっていないはずでした。
年初と今ではここまで予想も結果も変わってしまっています。
つまり、基本的に市場参加者の予想は楽観的であったと言うことができます。
人間は良くなるだろうという希望を含めた予想をしてしまいがちですが、この感覚には要注意です。
また、ヘッジファンドの帝王 レイ・ダリオ氏は『金利が4.5%に達すると株価は20%近い下落につながるだろう』と発言しています。
今後も市場参加者の予想が楽観的だと考えると、インフレはなかなか収まらず、更なる利上げが進められる可能性も考える必要があります。
こうしたことから2022年の株価は上下を繰り返しながら結果的に下がっていくと思います。
まとめ
・米国のインフレのきっかけはコロナショックの時に行われたQE(量的緩和)
・インフレを抑えるために利上げとQT(量的引締め)を実施
・QT(量的引締め)は9月からペースアップして毎月950億ドルの資産圧縮を実施
・2022年8月のCPI、コアCPIは予想を上回る
・急速な利上げはしばらく続き、4.5%から5%程度の水準で維持されるよ予想
・投資家は楽観的で今まで予想を上回った利上げや予想を上回るインフレがよく起こった
・今後も利上げなどの予想が上回ると株価の急落が予想されるので注意が必要
今回は投資家の楽観さや今後の動向についてお話ししました。
予想はあくまで予想です。投資は自己責任で納得のいくように進めていきましょう。
これからも厳しい相場が続くことが予想されますが、こう言う時こそ積立投資を続けてコツコツ資産形成を行い、一緒に将来に備えていきましょう。
ではまた!